車のシートにボールペンのインクが付いてしまったとき、先に確かめてほしいことが2つあります。①そのペンのインクが「油性」「ゲル」「水性」のどれか ②付いてからどのくらい時間がたっているかです。そのうえで、こすらずに、車の取扱説明書が示す範囲(水、または薄めた中性洗剤)で押さえるように拭き、色が薄くならなくなったら手を止めます。
文具メーカーのサイトで紹介されている布や衣類の落とし方は、石けんでもみ洗いしたり、アルコールや除光液でインクを別の布に移したりしたあと、すすぎや洗濯で仕上げる手順です。洗濯できない車のシートには、そのままでは当てはめられません。この記事では、文具メーカー3社の公式な案内と自動車メーカーの取扱説明書をもとに、服の落とし方を試す前に確かめることと、自分でできる範囲を、東京・江東区の車内清掃のサンリバ・クリーンが解説します。
最初に確かめる2つのこと|インクの種類と時間
インクの汚れは、ジュースやコーヒーのような飲みこぼしとは性質が違います。飲みこぼしは水分で薄めて布に吸い取らせていくのが基本ですが(飲みこぼし・食べこぼしのシミ抜きの記事)、ボールペンのインクは、メーカーが保存性や定着性を重視して作っているものです(後述)。手を動かす前に、次の2つを確かめてください。
ペンの軸で「油性」「ゲル」「水性」を確認する
文具メーカーは、インクの種類ごとに落とし方を分けて案内しています。ゼブラは「ジェル・水性ボールペン・水性マーカー・蛍光ペン」「油性ボールペン/マーカー」「エマルジョンボールペン」などに分けて説明しており、三菱鉛筆も「油性ボールペン」「ゲルインク・水性ボールペン」で別々のページを設けています。三菱鉛筆は同じ油性でも、ジェットストリームとそれ以外とで手順を分けているほどです。
インクの種類は、ペンの軸や替え芯、パッケージに書かれていることが多いので、汚したペンが手元にあれば確認しておきましょう。分からないときは、商品名だけでも控えておくと、あとで調べたり、相談したりするときに役立ちます。
時間がたったインクは落ちにくい
ゼブラは、インクの落とし方の注意事項に「書いてから時間が経過したものは落とせません」と記載しています(ゼブラ「インクの落とし方はありますか?」)。いつ付いたのか分からないインクの跡を見つけた場合は、付いた直後と同じようには落ちない前提で考えた方が安全です。
文具メーカーの落とし方は「衣類」が前提
文具メーカーの公式な案内のうち、布や衣類に付いたインクの落とし方は、どれも手で洗ったりすすいだりできることを前提にしています。車のシートに当てはめる前に、どんな手順なのかを確認しておきましょう。
ゲル・水性インクは石けんでもみ洗いしてすすぐ
三菱鉛筆は、ゲルインク・水性ボールペンについて「一般的な衣類での落し方」として、インクが広がらないように付いた箇所をぬるま湯や水で濡らし、洗剤や石けんを付けて繊維からインクを「もみ出す」ように手洗いしてすすぐ、これを繰り返したあと通常の洗濯で仕上げる、という流れを示しています(三菱鉛筆「インクを落としたい ゲルインク・水性ボールペン」)。ゼブラも、布については水と石けんでもみ洗いし、流水ですすぐ方法を案内しています。
油性インクはエタノールや除光液で当て布に移す
油性インクの場合、ゼブラは布に付いたものについて、無水エタノールか除光液(プロピレングリコール類を含むもの)を使い、汚れた部分の下に当て布をして、溶剤でインクを当て布に移し取り、最後に洗濯して溶剤を落とす方法を示しています。三菱鉛筆の油性ボールペン(ジェットストリーム以外)の案内も、消毒用などのアルコール系溶剤を数滴垂らし、「汚してもよい布」にインクを移す方法です(三菱鉛筆「インクを落としたい・油性ボールペン (ジェットストリーム以外)」)。
そしてゼブラは、この方法の注意として「ソファや畳など当て布のできないものには適しません」と書いています。車のシートも、裏から当て布をすることはできません。また、同じ注意書きには、マニキュアの除光液で衣類などの色が剥げたり溶け出したりすることがあるとの記載もあります。
メーカー自身が「極めて困難」と書いている
三菱鉛筆は、インクが保存性を重視した設計であることから、衣類や家具などに付いたインクを落とすことは「極めて困難です」とし、クリーニング店や補修専門店に相談しても、多くの場合「薄くなる程度」までになると説明しています。パイロットも、インキは保存性を重視しているため衣類や革製品などに付いたものを落とすことは極めて困難だとして、自分で洗濯をせずにクリーニング店に相談し、その際にインキの種類を伝えるよう案内しています(パイロット「インキで服を汚してしまいました。自分で洗って取れますか?」)。ゼブラも、インクは定着性を重視して組成しているため、簡単に落とすことは難しいとしています。
つまり、手で洗える衣類でさえ、メーカーは「完全に落ちる」とは言っていません。車のシートでは、さらに条件が厳しくなります。
車のシートに当てはめられない3つの理由
トヨタの取扱説明書はシートにアルコールを使わないよう求めている
トヨタの取扱説明書(AQUA「内装の手入れ」)は、変色・しみ・塗装はがれの原因になるとして、シート部分には「シンナー・ベンジン・アルコール、その他の酸性やアルカリ性の溶剤」を使用しないよう注意しています。油性インクの落とし方で使われるエタノールは、ここで名指しされているアルコールにあたります。
ホンダの取扱説明書(FIT「車内の清掃」)も、ケミカル類は成分により布材の変色・しみなどを起こすことがあるとして、「ベンジン、ガソリンなどの有機溶剤、酸、アルカリ性の溶剤は使用しないでください。」としています。ホンダのこの記載は除光液を名指ししてはいませんが、除光液もインクを溶かして移し取る方法に使われる溶剤です。当社としては、アルコールも除光液も、車のシートには使わないことをおすすめします。メーカーごとの記載の違いは化粧品・日焼け止め汚れの記事、シールはがし剤など「溶かして落とす」製品の注意はガム・シール・クレヨンの記事でも詳しく紹介しています。
シートは服のようにすすいだり洗濯したりできない
ゲル・水性インクの「もみ洗いしてすすぐ」も、油性インクの「最後に洗濯して溶剤を落とす」も、水で流せることが前提です。トヨタの取扱説明書は、床・ラゲージルーム内などに水をかけたり液体をこぼしたりしないよう警告し、駆動用電池や電気部品などに水がかかると故障や車両火災につながるおそれがあると説明しています。SRSエアバッグの構成部品や電気配線をぬらさないようにとも書かれています。
服の手順のうち「もみ洗い」「すすぎ」「洗濯」の部分は、車のシートでは省くしかありません。すすぎと洗濯を抜いたまま途中の手順だけを真似すると、洗剤や溶剤、溶け出したインクをシートから取り除く工程がなくなってしまいます。
本革・合成皮革は文具メーカーの表でも「落とせない」
ゼブラのインクの落とし方の一覧表では、「革・合成皮革」は、ジェル・水性インクでも油性インクでも「落とすことはできません」とされています。油性インクの衣類の落とし方にも「ビニールレザーや本革の場合は、染まってしまい落ちません」という注意があります。
本革や合成皮革のシートにインクが付いたときは、ご自身でいろいろ試すよりも、早めに状態を見てもらう方が無難です。本革シートの日頃のお手入れについては本革・合皮シートのお手入れの記事をご覧ください。
注意:お使いの車の取扱説明書に清掃方法の記載があるときは、そちらが優先です。シートの素材や使ってよい洗剤は車種によって違うため、手を動かす前に一度確認してください。
自分でできるのはここまで
付いた直後は、こすらずに押さえる
ペン先から出たインクがまだ表面に乗っているうちは、乾いたティッシュややわらかい布を上から軽く押し当てて、移る分だけを移します。布の面を変えながら、何度か繰り返してください。
- こすらない(インクが繊維の奥や周りへ広がりやすくなります)
- 押し当てるときに力を入れすぎない
- ペンはキャップを閉めるかペン先をしまい、シートから離しておく
取扱説明書の範囲で拭く
そのあとは、取扱説明書が示しているお手入れの範囲で拭きます。トヨタの取扱説明書(AQUA)が示す室内の手入れは、次の順番です。
- 掃除機などでほこりを取り除き、水またはぬるま湯を含ませた布でふき取る
- 汚れが落ちない場合は、中性洗剤を水で約1%に薄めてやわらかい布に含ませふき取る
- 水を浸した布を固くしぼり、表面に残った洗剤・水分をふき取る
同じトヨタの取扱説明書では、合成皮革も同じく中性洗剤を約1%に薄めて使いますが、本革はウール用の中性洗剤を水で約5%に薄めて使うなど、手順が分かれています。濃さはメーカーによっても違い、ホンダの取扱説明書(FIT)では、本革はウール用中性洗剤の10%水溶液とされています。ただし、本革・合成皮革のシートに付いたインクは、前の章のとおり、ご自身で試すより早めにご相談いただく方が無難です。
拭き方は、取扱説明書の手順とは別に、当社からのおすすめです。インクの外側から内側へ向かって布で押さえるように動かし、布にインクが移ったらきれいな面に替えてください。目立たないところで色落ちしないか試してから始めると安心です。
ただし、ゼブラの一覧表で布に付いた油性インクに示されている方法は、無水エタノールか除光液を使うものだけで、水や石けんで落とす方法は示されていません。シートには溶剤が使えないので、油性インクは、ご自身で薄くできる範囲がかなり小さいと考えておいてください。
ここで手を止めた方がよいサイン
- 何度拭いても、色が薄くならなくなった
- 拭いた周りに、インクの色がにじんで広がってきた
- 本革・合成皮革のシートに付いた
- すでにアルコールや除光液を使ってしまった(色抜けやしみが見えなくても)
色が薄くならなくなった時点で続けても、跡が広がるだけになりがちです。すでに何かを使ってしまった場合は、上から別の洗剤を重ねずに、そのままの状態でご相談いただく方が、何を使ったかを踏まえて判断しやすくなります。
プロに相談するときに伝えてほしいこと
サンリバ・クリーンのシート洗浄は、事前ヒアリングで汚れの種類・経過時間・車種をうかがい、固形物や粉塵を取り除く前洗浄、専用薬剤でのシミ抜き、抽出機による洗浄水と汚水の回収という流れで進めます。表面を拭き上げるだけでなく、適切な水分量と薬剤・抽出機を使い分けて、シート内部の発泡材まで洗浄液を届けて回収するプロの分解洗浄が特長です。
ただ、ここまでご紹介したとおり、インクは文具メーカー自身が落とすのは極めて困難としている汚れで、どこまで薄くなるかはインクの種類やシートの素材、時間の経過によって変わります。取れないこともあります。そのため、作業の前にお車の状態を確認し、対応できるかどうかを含めて、お見積りの段階でご説明します。お問い合わせの際は、次のことをお伝えください。
- ペンの商品名、インクの種類(油性・ゲル・水性など)
- いつ頃付いたか
- 付いている席と、シートの素材(布・本革・合成皮革)
- ご自身で何を試したか
写真で確認させていただく場合は、お問い合わせのあとに、お送りいただく方法をご案内します。
料金の目安は、シート1脚清掃が10,890円(税込)です。江東区亀戸の拠点から10km圏内の東京9区(江東区・墨田区・江戸川区・葛飾区・足立区・荒川区・台東区・中央区・千代田区)と、千葉県の市川市・浦安市に出張しており、出張費はエリア内一律2,200円(税込)がかかります。オプション/個別メニューのみのご利用は、1訪問あたり出張費含め11,000円(税込)以上から承ります。作業はお車のドアを全開にできるスペースのある敷地内に限り、公道上ではお受けできません。作業スペースが十分に確保できない場合は、作業をお断りすることがあります。作業車を停める場所がない場合は近隣のコインパーキングを使用させていただき、駐車料金はお客様のご負担となります。また、作業時には電源と水をお借りします。電源の確保が難しい場合は、電源持ち込み(3,850円・税込)で対応できます。当日、スペース不足や公道上でしか作業できないなどお客様のご都合で作業ができない場合は、キャンセル料11,000円(税込)がかかります。詳しくはご利用ガイドと料金表をご覧ください。お見積りは無料です。
出張作業で担当者が不在のこともあるため、まずはお電話かメールでご相談ください。江東区をはじめ城東エリアで、シートのインク汚れにお困りの方のご連絡をお待ちしています。
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